アイオーンのもう一つの月


伊藤尚子 /  Naoko Ito
 
『アイオーンのもう1つの月』


銅版画(1版2色刷り)

イメージサイズ 20×25cm
ed.20


15,000円(シート税込)

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伊藤尚子のコラム
6

 

メダルアート等のこと


 

 私は漆芸と版画で制作していますが、もう1つ Medalic Art という分野での作品もあります。

メダルから派生していますが、現代メダルは小さなオブジェ、彫刻に近い物もあり、素材も金属のみならず、木、樹脂、ガラス等多岐に渡ります。国際協会は約40カ国の参加国があり、2年ごとに場所を変えて展覧会を開催しています(今年はフィレンツェで10月に開催)。

そもそもの発端は、1981年私の初めての個展(ブリュッセル)でした。日本紹介の一環で、舞踏の公演とファッションショー、漆の個展という謎の組み合わせでしたが、着物布地でユニークな衣装を造られるデザイナー中嶋さんの妹さんのMashikoさんが、ニューヨークで石彫の彫刻家兼メダルアート作家で、メダルアートの画廊をマンハッタンに経営なさっていて、かつフィラデルフィア芸大の先生もなさっていました。

その関わりで、彼女の画廊で個展をさせて頂いたり、フィラデルフィア芸大とリスボン芸大、近畿大学の学生交流メダルアート展を巡回させたりしました。

 日本では大きな分野ではありませんが、メダルは欧米では愛好家が多い分野です。彼女の画廊で個展をする時は、個展の宣伝のためにニューヨークメダル協会の集まりに必ず行きます。5番街の高級ホテルに集まる小父様たちは、ウォール街の金融関係の方や高級骨董を扱う店のオーナー等の紳士達なのですが、食事会が終わるやいなや、何と各自のテーブルに自慢のメダルコレクションをずらっと並べ、大人気なく見せびらかしっこを始めます。

奥様達は集まってコーヒーを飲みながら、「本当に子供なんだから」と言わんばかりの視線を投げかけます。私の作品は、漆のメダルというあまりない物なので、コレクターさん達に興味をもって頂けました。 

 まず京都で漆から始まり、ベルギーで鋳造彫刻をメインに鍛金も。銅版画とReliure (西洋造本術)も学び、帰国してリトグラフやシルクスクリーンを学び、メダル制作も始め、収拾がつかなくなるかというとそういうこともなく、その都度取捨選択して今に至っている次第です。
 

(作品・文 伊藤尚子)



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伊藤 尚子
Naoko Ito 


略歴
1954年京都生まれ
1977年
京都市立芸術大学美術学部、塗装(漆工)科卒業
1979年
同大学同学部同科専攻科修了
ベルギー国立高等建築視覚芸術大学金属彫刻科
ECOLE NATIONALE SUPERIEURE DES ARTS VISUELS ET D'ARCHITECTURE 及び、
王立美術学院彫刻科 RIJEKS CENTRUM HOGER KUNSTON DERWIJKS BRUSSELS 留学 (ロータリー財団奨学生)
1982年
京都市立芸術大学美術学部漆工科非常勤講師
1984年
象彦漆器(株)デザイン室デザイナー
1990年
近畿大学文芸学部芸術学科造形芸術専攻教授(2020年3月退職)
2020年現在
・日本版画協会会員・ 版画京都展実行委員会会員
・Japan Art Medal Association会員・International Art Medal Federation会員
・神戸、京都、大阪、東京、パリ、ブリュッセル等にて個展39回開催


 


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