ーやすらぎー
銅版画とパステル画
小池 結衣 個展


2024年4月3日(水)〜4月13日(土)

空から降り注ぐ光や、穏やかな海や湖のすがた。
大地や樹木から連想する自然のぬくもりを
今回はメゾチントと、
初めて個展で出展するパステル画でご覧願います 。


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この空の下
Yui Koike

らせん階段を昇るように
季節におかえりを言うとき
わたしたちはまたひとつ年を重ね

わたしたちは歩く
この空の下 この惑星(ほし)の上
誰も植えていない草のそよぐ道を
常に芽吹き 花をつけ 種を落とす
ただしい季節を知る草の

わたしたちは歩く
この空の下 この惑星(ほし)の上
やわらかな陽気 照りつける日差し
垂れこめた雲 まとわりつく雨 
かじかんだ指先 伸びてゆく影

季節はすすみ 星はもといた位置にかえり
この季節を知ってる 何度もめぐり逢っている
らせん階段を降りるように
季節にただいまを言うとき
わたしたちはまたひとつ年をとり

この空の下 この惑星(ほし)の上
いつかわたしたちはおやすみを言おう




あめつち


「あめつち」

メゾチント

イメージサイズ 143×215mm
シートサイズ 240×300mm


ed.30  2024年

シート税込¥16,500


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「休息」

メゾチント

イメージサイズ 175×145mm
シートサイズ 287×226mm


ed.30  2023年

シート税込¥16,500


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車窓より

「車窓より」

メゾチント

イメージサイズ 174×145mm
シートサイズ 294×234mm


ed.30  2023年

シート税込¥16,500


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小池 結衣 / Yui Koike

京都府京都市生まれ
京都市立銅駝美術工芸高等学校日本画科卒業
1998年 油彩画をはじめる
2008年 銅版画をはじめる
神戸、京都、大阪、東京、名古屋で
個展やグループ展を多数開催


小池結衣の銅版画技法は、まず銅版にこまかく、
垂直、水平、対角の線を刻み、
平行に密接した点刻を無数に打ち、
銅版の表面に傷(めくれ)をつける事から始まる。
メゾチントと言われるこの技法は、銅版の細かい傷を、
表したいものをあらわすために潰し、削ることで、
明るい部分を作り出す。
白色から灰色の諧調がビロードのような黒を耀かせる。
小池の現したい静寂の世界を表現するには
原版づくりに大変な手間と熟練が必要になる。
闇を切り開いて光を呼ぶような黒、静かな光。
メゾチントを発表して10年を超え作品への評価は近年高くなり、
こころを掴まれるような感動が伝わると注目されている。




小池結衣さんのコラム
「ぶれる日々」


書き下ろしのコラムと新作版画を連載中

「ぶれる日々」

ぶれず迷わず潔い。
若い時はこれがかっこよかった。
しかしこれは時に、
反省しない、視野が狭い、思考停止、を意味する。
ぶれて迷って往生際悪く生きるのも悪くない。



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|2023年 Y art gallery企画展|

小池結衣メゾチント展2023年

大河の川底を流れる無限無数の砂のように
小池結衣 メゾチント展

2023年2月22日(水)‐3月4日(土)
11時〜19時
祝日と最終日は17時まで
日・月休廊

寂静な世界を天地に祈り
メゾチント作品40点余を出展します

作家在廊日 2月22日(水)・3月4日(土)


●出展作品一覧はこちらをクリック願います

展覧会に寄せて 小池結衣

20年以上も前です。ベンチに仰向けに寝そべっていました。上空の風が強い日で、驚くような速さで雲が流れていました。増水した河の濁流を橋の上から覗き込む時のように、その流れるスピードに巻き込まれる感覚を覚え、上下の感覚を失って、空へ向かって落ちてゆくように感じました。空をどこまでも落ちてゆけば、大気はうすれ空は暗くなり、星々が、天の川が見えてきます。大気に邪魔をされることなく明瞭に見える星々の間を通り抜け、そのまま直径およそ10万光年の天の川銀河を突っ切って、まっすぐひたすら落ちてゆけば、やがて星々は遠ざかり、銀河系を背中に、近くに見えるのはアンドロメダ銀河、大小マゼラン星雲。その銀河群もどんどん小さくなってゆけば、遠くかすかに他の銀河団が見える以外は、ひたすらに真っ暗で何もない空間。ときおり通りかかった銀河をくぐり抜けながら、どこまでもどこまでもまっすぐひたすらたった一人で落ちてゆく、瞬間、その果てしない孤独に深い恐怖を覚え、思わずベンチにしがみついて我に返りました。一瞬にして宇宙をどこまでも落ちてゆく感覚は、大げさと思われるでしょうが、私には臨死体験のようでした。啄木の「空に吸はれし」も、案外恐怖を伴う経験だったかも知れません。


天の川をたびたび描いていますが、これは三途の川なのです。両者を同一視するのは、繰り返し読んだ「銀河鉄道の夜」からの影響でしょうか。ご存じのように、銀河鉄道の夜においては、天の川は明らかに三途の川のメタファーです。 私自身は占いまじないオカルトの類は受け付けない人間で、宗教も持っておらず、死ねばあの世も来世も霊魂も存在せずにただプッツリと終わるだけ、けれども死ぬ瞬間に意識は地球の重力から解放され、宇宙空間を落ちて行くイメージを持っています。生を終えるとき、残されるものから見ればその何の変哲もない一瞬が、無限に永遠に引き延ばされ、経験したことの全て、忘れていたことも含め全ての瞬間をひとつひとつ繰り返し思い出し、自分の無自覚に犯していたとんでもない過ちを目の当たりにしながら、宇宙空間を落ちて行きます。アキレスが永遠に亀を追い越せないような、文字通り机上の空論でしょう。しかし、時間とは正確に測れるものであると同時に相対的なものです。子供の頃の今よりずっとゆっくり流れる時間を覚えておられるでしょう。死ぬその一瞬が永遠のように引き延ばされる概念は、それほど突飛であるとは思っていません。 私たちをふくめ地球上の全てを形作る元素は、ビッグバンの折に生成された水素、恒星の内部における核融合や中性子合体によって形成されたものです。死後は有機物として分解され、最終的には数十億年後、年老いて現在の地球との距離よりも半径が大きく膨張した太陽によって吸収される地球上の私たちは、星から生まれて星に帰っていくことも、また紛れもない事実です。


―――― ・先生は意外なようにしばらくじっとカムパネルラを見ていましたが、急いで「では、よし。」と云いながら自分で星図を指しました。 「このぼんやりと白い銀河を大きないい望遠鏡で見ますと、もうたくさんの小さな星にみえるのです。ジョバンニさんそうでしょう。」宮沢賢治 銀河鉄道の夜より


・あまの川
あまのがわ
岸の小砂利も見いえるぞ。
底のすなごも見いえるぞ。
いつまで見ても、
見えないものは、水ばかり。 宮沢賢治


・星とたんぽぽ
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。  金子みすゞ


・宇宙に存在する銀河の数は、
少なくとも2,000,000,000,000個。
一つの銀河に含まれる恒星の数は、
10,000,000〜100,000,000,000,000個。


・太陽系から一番近い恒星は、4.24光年。
1光年は、約95,000,000,000,000km。
地球から太陽までの距離は149,597,870.7km。





|2022年 Y art gallery企画展|



小池結衣 メゾチント展
2022.3.18(金)〜3.29(火)
11:00−19:00(最終日は17:00)
日・月休廊

白色から灰色の諧調がビロードのような黒を耀かせる静寂の光の世界。 黒い画面を白く抜くメゾチントは光を描いていることだと作家は考えている。 闇を切り開いて心のうちを表現する小池さんのメゾチント作品に こころを掴まれる。 最新作を含むメゾチント作品43点を展示販売いたします。



| 2021年に開催したY art gallery企画展|

現代短歌を駆け抜けた笹井宏之のことばに寄せる
それから彼を見ないのですが
小池結衣 銅版画展

2021.4.20(火)- 5.1(土)
ワイアートギャラリー

展覧会アーカイブはこちらをクリックしてご覧ください


小池結衣さんは昨年1月から3月にかけて思わぬ病の為に入院加療の時を過ごしました。病中、生と死について否応なく考えさせられる時期に笹井宏之さんの歌集に出会い、病をもつ笹井さんが歌を詠むことで遠い異国に旅をし、風や水、大地となって言葉を交わす様子に深いところで共鳴しました。
笹井宏之さんの短歌に捧げる銅版画を展示しました。





小池 結衣

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