萌音、消えてしまった筈の物語


伊藤尚子 /  Naoko Ito

 
『萌音、消えてしまった筈の物語


銅版画
イメージサイズ 39×52cm
シートサイズ 42.2×54.2cm
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伊藤尚子のコラム
4

 

近畿大学で


 

 私が31年間勤めていた近畿大学は、芸術系大学ではなく総合大学ですので、今まで自分の周囲に居なかったタイプの方が多くて、芸大美大でなくて良かったと今では思えます。

例えばある日、理工学部の薄暗い研究棟に入っていくと、左右に振れる木綿糸の下に小さなダイヤの原石が置いてある機械があり、その横でデータの整理をする研究者が一人。 「1年で、ダイヤが1ミリの10万分の1切れたんですよ木綿糸で!凄いでしょう?」 私は、どう凄いのか、何のための研究かはよくわからないけど、理系の人の面白さに触れた思いでした。

例えば、同僚に女性のエジプト考古学者がいます。今はコロナで無理ですが、彼女は毎夏エジプトに発掘調査に行っていました。「ピラミッドの坑道を這って入るのね、低いから。バリッバリッとポテトチップスが割れる様な音がするわけ。なぜなら、坑道には奴隷のミイラが敷き詰めてあって、それを砕きながら入っていくわけ。四つん這いでね。」

 他学科、他学部の授業も取れますし、私が海外に学生を連れて行く時も、生物理工学部や英語コミュニケーション学科の学生も混ざっています。文芸フェスタという1年中次々企画する祭では、例えば全学科の有志学生で、40メートルの宇宙図を描いて、JAXAの人工衛星に積んで地球上を半永久的に周回してもらったり。

例えば学生も、4年間ずっとコアラの作品しか作らなかった子が、卒業後オーストラリアのコアラ病院に、何のツテもなく尋ね、コアラ舎の掃除から始めて、今は財団のコアラグッズのデザインから日豪学生交流の仕事まで何でもこなす人になったり、面白い子が多くいました。

 

(作品・文 伊藤尚子)



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伊藤 尚子
Naoko Ito 


略歴
1954年京都生まれ
1977年
京都市立芸術大学美術学部、塗装(漆工)科卒業
1979年
同大学同学部同科専攻科修了
ベルギー国立高等建築視覚芸術大学金属彫刻科
ECOLE NATIONALE SUPERIEURE DES ARTS VISUELS ET D'ARCHITECTURE 及び、
王立美術学院彫刻科 RIJEKS CENTRUM HOGER KUNSTON DERWIJKS BRUSSELS 留学 (ロータリー財団奨学生)
1982年
京都市立芸術大学美術学部漆工科非常勤講師
1984年
象彦漆器(株)デザイン室デザイナー
1990年
近畿大学文芸学部芸術学科造形芸術専攻教授(2020年3月退職)
2020年現在
・日本版画協会会員・ 版画京都展実行委員会会員
・Japan Art Medal Association会員・International Art Medal Federation会員
・神戸、京都、大阪、東京、パリ、ブリュッセル等にて個展39回開催


 


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